医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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六十五歳は老人なのか?
 
 「高齢者医療の新しい展開」というテーマで、国際フォーラムが、8月9日からライフ・プランニング・センター(日野原重明理事長)の主催で聖路加看護大学ホール行われた。外国から老年医学、看護学の研究者らも参加して意見を交換した。

 間もなく92歳になる聖路加国際病院の日野原重明理事長の基調講演は、多くの示唆を与えた。日野原氏は、65歳以上を「老人」とすることに疑問を呈する。日本老年医学会が発足した1959年、当時の日本人の平均寿命は68歳だった。日野原氏によれば、当時の平均寿命を背景にしたものだという。

 2002年には、男性78.32歳、女性85.23歳。平均では81.7歳となった。平均寿命が大幅に伸びた今、相変わらず、65歳の老人線を 固執するのは問題があろう。

 医療面でも いわゆる寝たきり、痴呆などの発現率は、60代、70代前半では低く、80歳以上になって、発現率は急激に高くなる。

 アメリカの老年学のベルニース・ニューガトンは、55歳から75歳までを「ヤング・オールド 」、75歳以上を「オールド・オールド」と呼ぶように提唱した。彼女が、この説を唱えたのは、70年代であるが、最近では、80歳以降を「後期高齢期」とする考え方が、とりわけ医学者の間では支配的である。筆者自身も65歳を老人線にするのはあまりにも実情を無視したものであると考える。

 日野原氏は、75歳以上で自分を元気だと思っている人を対象に「新老人の会」を発足させている。現在、会員は2997名。なんらかの社会活動に参与し、生き生きとした人生を楽しみ、QOL(生活の質)の高い生活をしようという会だ。

 サクセスフル・エイジングということが言われている。「成功加齢」と訳されるが、健やかに老いて、人生を全うすることだ。日野原氏は、アウシュビッツの強制収容所で厳しい試練に耐えて生還した精神医学者のヴィクトール・フランクルを引用して「新老人」の哲学とする。

 1.いつまでも愛し愛されている人間であること。
 2.創意を持ち続けること。何か新しいことを常に考え、実行すること。
 3.苦難に耐えること。耐えることによって他人の苦しみに共感できる。

 「高齢になると、精密な医療機器で検査をすると、あら≠ヘ出てきます。健康はからだに欠陥がないことではない。私は健康である≠ニいう気持ちを持つことが大切なんです」と日野原氏は言う。

 タクシーは50万キロ走る。手入れが良いからだ。自家用車は10万キロしか走らない。タクシーに学ぶべきだという。つまり自分の健康を上手に自己管理することが肝要であるという。

 石原慎太郎氏が、『太陽の季節』で芥川賞を受賞したのが、1956年。その時、日本人の平均年齢は27.6歳。「若者国家」だった。超スピードで超高齢者国家に向かってひた走っている。定年制度も含めて、既成の高齢者観に修正を加える必要があろう。

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