医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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2004年
2004年度診療報酬改定の行方は
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ヒトゲノム解読完了宣言に想う
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ヒトゲノム解読完了宣言に想う
 
 この春、ヒト・ゲノム(人間の全遺伝情報)プロジェクトチームが、「解読完了」を宣言。DNAの二重らせん構造をJ・ワトソンとF・クリックが発見してちょうど50年だった。

 解読完了と言っても、四種類の塩基文字の配列が解っただけで、DNAの遺伝情報がすべて読み解けたわけではない。暗号のような文字列が何を意味しているのか、「機能解析」が必要である。むしろこれからが、本番。ポストゲノム研究のスタートラインに立ったというべきだろう。

 それにしてもこの半世紀の生命科学の進歩は目をみはるばかりだ。クローン動物はすでにつくられているし、クローン人間も誕生しそうな雲行きである。バイオテクノロジーをもちいて糖尿病のインスリン、小人病のための成長ホルモンなどが大量生産されるようになった。ネズミの性決定遺伝子を確定し、メスになるネズミの受精卵にオス決定因子をもつ遺伝子を組み込むことによってメスからオスへの性転換も可能になった。

 遺伝子診断によって、重篤な遺伝病が発病するよりかなり早い段階で発見されるようになった。ハンチントン病やADA欠損症などがそれだ。

 病気の早期発見は、遺伝子診断の成果かもしれない。しかし治療法もない病気の場合、「あなたは四十歳のとき、ハンチントン病になりますよ」と宣告されたらどうだろう。

 家族性の乳がんの遺伝子も発見されている。この遺伝子をもつ女性は50歳までに60パーセントの確率で乳がんになる。一生のうちには、ほぼ全員乳がんにかかるといわれている。アメリカでは、乳がんにかかる以前に乳房を切除するという予防的手術が行われている。

  「病気になる可能性のある」人びとが、選別され、就職、入学、保険に加入するとき、差別をされることもありうる。ヒトゲノムのデータベース化によって、遺伝、健康情報が第三者に渡って、確実にプライバシー侵害を生む可能性がある。

 ゲノムの解析が進むにつれて遺伝子への多様な人為的介入が行われるようになるだろう。新たな優生学的問題をを抱え込むことにならないだろうか。

 ゲノム研究プロジェクトがスタートした時点で[ELSI」問題、つまり英語の頭文字をとって「倫理的・法的・社会的な問題」を研究するためにゲノム研究費の3パーセントから5パーセントの資金が投入された。科学的研究と併行して欧米では、生命倫理、法的な問題などの研究が進み、科学の独走≠制御するための知見を積み重ねている。しかし、日本では、いわゆるELSIの分野の研究は遅れをとっていると言わなくてはならない。

  「生命の謎」を解明するにつれて、素晴らしい薬を開発、難病を治療することが可能になるだろう。しかし明るい面ばかりではあるまい。生命を人間が操ることによって、深刻な問題を引き起こす可能性もあるのだ。わたし達は、その問題性をを強く意識しなくてはならない。

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