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| 健保三割負担の波紋 |
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2月12日の全国紙に、日本医師会が全面をつかった意見広告を出稿した。〈4月1日。サラリーマンの出血50%増。〉というコピー。ご存知のように「三方一両損」とうことで、昨年、医療制度改革法案が可決され、今年4月1日から健康保険被保険者本人の三割負担が実行されることになる。それにしてもサラリーマンの健保の自己負担率の値上げの速度は凄まじいばかりだ。
かつて健康保険被保険者本人は無料だったのだ。1984年に一割負担導入。1997年にニ割負担。そして2003年、三割負担ということになった。超高齢化の進行で老人医療費の増大に加えて経済成長が鈍化したために健康保険財政は破綻寸前である。健保財政が悪化すると、サラリーマンの自己負担を値上げすることによって、当面の危機をしのいできた。二割負担から三割負担のなったのは僅か五年である。今度は四割負担にするつもりだろうか…。言うまでもないことだが、保険とはリスクの分散である。四割しか給付のない保険は、すでに保険の意味をなさないのではないか。
日本医師会に話を戻そう。先述した日本医師会の意見広告は 「サラリーマンの自己負担3割」の凍結を求めて行動を起こす、と言っている。常識的に言って、一度成立してしまった法律を撤廃することはできない、というのが大方の見方だが、日医の坪井栄隆会長の発言などから推測するに「ペイオフが二年延びたように、この問題も先送りして欲しい」という腹のようだ。それにしても日本医師会の「三割負担凍結宣言」の後押しをしようという世論の高まりはまったくといっていいほど感じられない。
日本医師会がこれほどまでに「三割負担」に反対するのは、本音は、受診抑制が起きるからである。物の値段が上がると、消費抑制が起きる。たとえば、タクシー料金が値上げされると「タクシーに乗るのを我慢しよう」という人が増えて一時的には乗客が減少する。しかし、しばらくするともとに戻るのが通常である。1997年に一割負担から二割負担に値上げされたときも、当然受診抑制が起こった。半年か一年もすれば、元に復するだろうという予測があった。しかし当時の受診抑制はいまだに続いているのである。この四月からの受診抑制も元に復することなく半永久的に続くだろうというのが、医療界の大方の見方なのである。
ここで心配されるのは、受診抑制が起きて、一時的に医療費が減少するかもしれないが、早期治療のチャンスをうしない、病状が悪化して、かえって医療費が増大するというケースも増えていくだろうことは十分に予測できる。
先にも言ったが、自己負担が四割ということになれば、すでに保険の機能はないと言っていい。社会保障制度としても完全に破綻するといっていい。健康保険財政を立て直す方策として自己負担率を上げるのはすでに限界である。
さしあたっての綻びを直すのではなくて、健康保険制度を抜本的に改革しなくては、やがて保険制度そのものが破綻するだろう。財源がこれ以上増える可能性が期待できないならば、公的医療保険で、基本的な医療費をまかない、差額ベッド、アメニティ部分は民間保険を導入するなど考えるべきではないか。年金の二階建て方式に倣って、公的保険と民間保険と併用方式である。
政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は、株式会社による病院経営、混合診療(保険診療と保険外診療の併用)などを提案しているが、日本医師会などは強く反発している。初めからアレルギー症状を起こさないで、日本医師会の中で冷静に議論する必要があるのではないか。
低成長の時代、医療費というパイはますますやせ細る一方なのだ。新たなパイをどこから持ってくるか、ここが議論の出発点であろう。 |
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