医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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外国人誘致めざすタイの病院
 
 タイのプーケットの病院を取材した。プーケットはタイの南部にある有名なリーゾートの島だ。エメラルドのような海、雄大なビーチ、熱帯樹が茂る自然豊かな避寒地として年間数百万人の観光客を集める。なぜタイの病院を訪ねたか。観光立国のタイが、日本をはじめ外国の患者を誘致して、グローバルな医療ビジネスを展開しようとしているからだ。

 日本では構造改革特別区推進本部で「株式会社の病院経営を認めるべきか」が話題になったが、株式会社参入は自由診療分野に限定されることになった。泰山鳴動したわりには、ネズミ一匹…といった感じだった。 ところでタイが外国人向けの医療サービスを展開しようとしている病院は、私立病院、すなわち株式会社の経営する病院である。医師団体や病院団体は、「株式会社が参入すると、営利に走る」と反対する。

 医療を医療サービスを提供する側と消費者の関係で見るならば、おかしな議論である。医療サービスを選ぶのは消費者だからだ。多様な選択肢があっていいという意見は多い。

 タイの病院に話を戻す。公立病院を含めて複数の病院を取材したが、バンコック・プーケット病院を紹介しよう。東南アジア最大の病院グループ「バンコック・ゼネラル・ホスピタルグループ」(BGH)が経営する株式会社立の病院。

 椰子の木の繁る広大な敷地に瀟洒な建物が建つ。救急患者を搬送するヘリコプターも待機。一歩病院に足を踏み入れると、ホテルを思わせるような豪華な内装。外国人患者をターゲットに「インターナショナル・メディカルセンター」部門がおかれている。英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語、中国語、そして日本語を話すスタッフがいて、言葉の障壁を取り除く。

 総合病院としてあらゆる診療科が揃っている。アメリカ留学経験の医師も多く、医療機器も最新鋭をそろえる。売り物≠ヘ美容整形外科、アーユルベーダなどがある。とりわけユニークなのは、性転換手術だろう。心臓病のハートセンター、救急センターなども充実している。救急は、医師が同乗したドクターズ・カーである。透析センターもあって、透析患者も安心してリゾート生活が楽しめる。

 病室も個室がほとんどで、ホテル並の居心地のいい部屋。部屋代も一泊五千円前後。医療費も日本の五分一くらい。タイは微笑みの国≠ニ言われるくらい病院の医師、看護師は笑顔で対応、サービス精神は徹底している。現在タイ全体で外国人患者は60万人位だが、2005年には百万人を超えるだろうと予測されている。12月には大規模のビリリハセンターも完成する。熱帯の気象を生かした効果が期待できる。超高齢化した日本のお年寄りも保養とリハビリを兼ねてタイを訪れるかもしれない。医療費は高騰、健保の自己負担も高くなった日本よりも安くて良質な医療が提供されるとなると、日本の医療界もうかうかしていられない。

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