医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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2004年
脳卒中研究会で診療レベルを上げる
ジェネリックという医薬品
障害者に優しいスイスの観光都市
スイスの製薬業界事情
「患者様」と呼ぶだけでいいのか…?
変わる医師の臨床研修制度
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今年こそ「患者中心の医療」を
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ステロイド裁判の不幸な判決
医療事故防止と安全文化
「患者様」と呼ぶだけでいいのか…?
 
 十年ばかりも前のことになろうか。『厚生白書』が「医療はサービス業である」と言ったことがある。これに対して医師の多くが反発した。「サービス業とはなにごとか」というわけである。さすがに最近はそんな風潮はなくなった。欧米では医療機関や医療者は医療サービスの提供者=A患者は医療サービスの消費者≠ニいうのが常識である。ペーシェント(患者)という言葉はあまり使わない。クライエント(顧客)という言い方が普通である。こうした欧米の考え方が日本にも浸透してきた。サービス業を自覚し、営業マインドが芽生えたのか、日本の病院、診療所も、最近では「患者様」というのが大流行である。個人の呼びかけも「……様」という敬称をつける。医家向けの本の題名も『患者様をお待たせしない外来』『患者様の声を聞く医療』といったぐあいである。病院に行って、「患者様」と呼びかけられると、なぜか、落ち着かない。この落ち着かなさはどこからきているのだろうか。

 ホテルで「お客様」と呼びかけられても違和感はない。病院や診療所の場合、営業努力を怠らず、サービス精神あふれる気持ちで「患者様」と呼んでいるのだろうか?単に言葉だけだはないのか?そんな疑問が脳裏をかすめるからではないだろうか。

 医療消費者団体である「ささえあい医療人権センター」(COML)発行の『患者白書』によると、消費者としての患者の気持ちなど無視した医療者の傲慢さがいまだに横行しているのがわかる。六〇歳の男性は、心筋梗塞と診断された。医師は十分な説明もしないで、「あんたの心臓は腐っている。バイパス手術だ」の一言。「あの言葉を思い出すたびに、怒りと悲しみで胸が締め付けられるような痛みを覚える」とその人は話している。六八歳の男性は、受け持ちのナースに「生活指導します」と言われ、「娘のようなナースに生活指導するといわれむしゃくしゃする」と言っている。「患者と医療者は対等である」と言われるようになって久しいが、これはあくまでも建前であって医療者の本音は、「診てやる」「指導する」「管理する」ということなのではないか。

 看護学生がつかう教科書には「患者教育」「患者管理」「患者指導」という言葉が当たり前のようにつかわれている。教育・管理・指導とい言葉が、無意識につかわれているということは、まだまだ、医療者が、サービス業者≠ノなっていないということであろう。すなわち、対等には話せないという上下関係になっているということである。

 リンクメディア社のテリー・ロイド社長が「日本経済新聞」のコラムに寄稿していた。長く日本に住んでいても、いざ体に不調を感じ診断や手術が必要になると、本国で受診するというのである。それは言葉の問題のせいではなく、日本の医療システムが劣っているからである。医療技術だけではなく、インフラも劣るという。そういえば、日本の大部屋は、「兵舎並み」と言った外国人もいた。

 真のサービス精神が欠落した状態で営業努力を怠りながら、「患者様」と呼ぶだけでは、患者満足≠ネんてありえるはずがない。

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