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| 韓国の病院事情を見て |
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韓国の病院事情を視察してきた。医師、看護師、病院管理、ITの専門家らと同行した。韓国の病院のIT化はかなり進んでいる、というのが、日本の病院関係者の間でも話題になることが多い。実情はどうなのか。
私自身は、かなり海外取材をしてきたが、いつも目が向くのは欧米だった。灯台下暗しというか、隣国の韓国の医療事情を取材することはなかった。私自身、日本の医療は韓国よりは半歩くらいは先を行っているという思い込みがある。これはかなりの誤解だ、ということを思い知らされた。
ソウル首都圏の代表的な四病院を見学した。サムソン医療センター、ソウル大学ブンタン病院、韓林大学校聖心病院、アサン医療センター。これら病院のIT化はわれわれが想像していた以上に進んでいた。
デジタルホスピタルを志向して、フィルムレス、ペーパーレスを実現しつつある。レントゲン写真、心電図などは、コンピューターによって集中管理、データベース化されている。入院記録、看護記録、カルテなども一切紙は使わない。患者の側も自宅のパソコン、携帯電話などで診療の予約も可能である。電子カルテの方式も統一されて、急速に普及している。病院と診療所、いわゆる病診連携、関連病院同士のITによるネットワーク化も進んでいる。
視察に参加した医師のひとりは、こんな話をしていた。
「経営、人事管理もIT化されているので、医師の一人ひとりの売上げ、ひとりの患者さんに対して時間のかけ方などがが記録されているので、医師の生産性が一目瞭然になる。給料の査定にはねかえるとなると気になりますね」
病院のデジタル化で経営の合理化もかなり進んでいることは事実だ。
日本と比べて病院のIT化が進んでいる理由はなんなのか。技術が遅れているのだろうか。決してそうではない。私は韓国の国民性、そして国としての戦略の違いではないかと思う。
病院のIT化とは直接関係はないが、医療改革の意気込みも目を瞠るものがある。二〇〇〇年、金大中政権の時、それまで医療保険は職域と地域保険に分かれていたが、これを統一して「国民健康保険公社」を設立。唯一のの保険者となった。
医薬分業も「薬事法」を改正して、二〇〇〇年八月に医薬分業を施行した。医師団体側は、「経営基盤が損なわれる」と猛反対。四回にわたる大規模なストライキ(一時は医療機関の九割以上が参加)を決行した。医師団側は医薬分業を廃止させることはできなかったが、診療報酬を勝ち取った。
韓国の大統領は世界でももっとも集権的といわれる。国会での議決に対して拒否権を行使できる。官僚も次官、局長クラスは大統領のトップダウン方式。国がこうと決めたら、かなり強引に推進できる仕組みだ。国民性も改革に対して一途に進む傾向があるようだ。
病院のIT化の急速な進み方も国家戦略の一環と見ることができよう。郵政の民営化、道路公団の改革……などの遅々として進まない日本の状況とおよそ対照的である。
韓国の国家戦略の明確さ、実践力がすべて良いとは思わないが、韓国が、日本より確実に前に進む改革の意欲は、学ぶ必要はないだろうか。 |
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