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| ステロイド裁判の不幸な判決 |
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最近気になる裁判の判決が下された。仮に「アトピー裁判」と呼んでおこう。アトピーとはここではアトピー性皮膚炎のことを指す。「アトピーッ子」という言葉があるくらい乳幼児の罹患率は高い。正確な統計はないが、乳幼児は30パーセント、小児は20パーセントくらいではないかと推定されている。
多くの医師はアトピー性皮膚炎に対してステロイド外用剤を処方する。一時的にはきわめてよく効く薬である。しかし連用すると効き目が薄くなり、より強いステロイドを使うことになる。ステロイドを中止すると、離脱症状を起こす。いわゆるリバウンドである。習慣性を絶ち切るために、ステロイドから離脱する脱ステロイド@テ法を実践する皮膚科医も徐々に増えてきている。
『日本医事新報』(2002年4月27日)で発表された深谷元継医師の論文によると、脱ステロイドについて「欧米にも日本にも数多くの権威ある医学論文や臨床報告がある」といい、アメリカのクリグマンという医学者はステロイドを中止すると酷い離脱症状を「ステロイド依存」と定義しているという。
日本では、1999年に東京都が作成した『アレルギー疾患ハンドブック』で、ステロイド軟膏の減量中止の伴う急性増悪を「リバウンド現象」と呼び、そのような症状の患者群を「ステロイド依存例」と定義した。東京都内に住む女児がアトピー性皮膚炎に罹り、複数の診療所でステロイドを処方された。重症化した女児は脱ステロイド℃。療で実績をあげている東京・練馬区で開業している皮膚科医をを訪れた。医師は、脱ステロイド療法を開始した。ステロイドを中止すると、当然のごとく離脱症状、いわゆるリバウンドが起こる。リバウンドを乗り切るのはかなり厳しい忍耐が要求される。この試練に母親も女児も耐えることができなかったようだ。
女児は、国立大学の皮膚科に入院した。強いステロイド剤を使った。当然、一時的には軽快する。この国立大学の皮膚科教授は、ステロイド推進派の医師として有名な人。日本皮膚科学会の主導的立場にもある。ちなみに日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎のガイドラインの標準治療は「ステロイド剤」だ。
冒頭に「ステロイド裁判」と言ったが、女児一家が原告となって、脱ステロイド治療をした東京・練馬区の医師を、不適切な治療をしたとして、提訴したのである。不幸にも医師は敗訴した。判決文を丹念に読むと、女児が入院した国立大学の教授の証言、鑑定書を、ほとんどそのまま鵜呑みにして判決されている。しかもリバウンド現象そのものを否定している。「不幸にも」と言ったのは、多くの医師が、ますます「ステロイド依存」に無関心になるのではないか、ということだ。
宇治武田病院アレルギー科の木俣肇医師は次のように話す。「皮膚科の医師ですらステロイドの副作用に無関心ですが、他科の医師はもっと無関心です。乳幼児はアトピー性皮膚炎に罹ると、小児科に行きます。小児科医で、ステロイドの長期使用の副作用を知っていて、注意深く使用するとか、脱ステロイドの治療をする小児科医はまだ少数派です」と。
ステロイドの副作用について厚生労働省も医師も市民も認識を深めるべきではないか。 |
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