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| 今年こそ「患者中心の医療」を |
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医療専門誌『ジャミック・ジャーナル』(2004年1号)に国立病院大阪医療センターの中に「患者情報室」がオープンしたという記事が出ている。
同誌によると、患者情報室が生まれた経緯は、朝日新聞の記者であった井上平三さんが、生前「ぜひすべての病院に患者が自分の病気を勉強のできる患者情報室を
」という熱い思いをもっていた。その遺志を未亡人の井上由紀子さんが引継ぎ、実現したという。患者情報室には、寄付で集められた医学・医療の本が備えられている。パソコンが二台設置され、ネットで医療情報にアクセスできる。常勤者一人に加え20人のボランティアが利用者を支援する。単に図書室を創ったという話ではなくて患者と医療者が協働して、患者のよろず相談にも対応していく、新時代の医療空間を創りあげたいという。故井上さんは、私自身がコーディネーターをつとめたシンポジウムで発言していただいたこともあり、とてもも印象に残っている人である。がんが全身に転移し、満身創痍だったにもかかわらず、明るさを失わない人であった。奥様が遺志を引き継がれ、生前には実現しなかったが、きっと泉下で喜ばれていることであろう。「患者中心の医療」の一つの具体的な実践である。
患者情報室からアメリカの病院の中にある「患者アドボカシー室」を連想した。アドボカシー(adovocacy)は、辞書には「弁護、支持、擁護」というような訳語がつけられているが、「自己の権利や利益に対して自己主張できない人に対して味方になって権利や利益を擁護し、訴えること」である。ハーバード大学メディカルスクール助教授の李啓充さんは、米国の有力病院が「患者アドボカシー室」を開設して患者サービスに努めていることを紹介し、アドボカシーの重要性を説いている。
患者と医療者は対等であるとはいうが、現実には医学知識に関しても専門家と患者は対等とは言いがたく、役割関係は、能動-受動の関係になりやすい。さらに患者は病を持つということで心理的に弱い立場にいる。そういう患者の味方になって、「不満があったらどうぞお知らせください。私たちが医師・看護師らに、その不満をお伝えして問題解決のお役に立ちましょう」というのが、患者アドボカシー室の仕事だという。患者情報室がさらに「患者アドボカシー室」の機能を持つ空間に発展して欲しいと思う。
「患者中心の医療」という言葉は最近多く耳にするが、実態はまだまだ実現されているとは言いがたい。インフォームド・コンセントとはいえ、実際には医療側の都合にあわせた誘導であったり、極端
なケースでは患者を手術の練習台にして死に至らしめるような医療事故を起こしている。
井上さんは、奇妙な言葉に聞こえるかもしれないが、患者のプロ≠フような人だった。自分の病気に関して徹底的に勉強して医療者と対等にかかわった人だったように思う。「患者中心の医療」はかけ声に終わらせるのではなく、患者情報室のよう具体的な実践から生まれるものである。日本の病院の中に患者情報室のような施設が増えていって欲しいものである。
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