医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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【2006.1月partT】
糖尿病対策は国民的課題だ
【2006.1月partU】
日本はなぜがんが減らないのか
【2006.1月partV】
超高齢社会と老年学
【2006.1月partW】
「名ばかり専門医」の横行
【2006.1月partX】
薬学教育六年制への延長の問題点
【2006.1月partY】
薬剤の世界に大きな変化が
【2006.1月partZ】
なんとも憂うべき日本の看護事情
【2006.1 partT】糖尿病対策は国民的課題だ
 

米国ルイジアナ州、ミシシッピー州など、南部を襲った超大型ハリケーンカトリーナ≠フ被害の深刻さ全世界を震撼させている。死者の数も災害後、かなりの日数が経つというのにというのに不気味に増えている。医薬品不足も深刻である。とりわけインスリンの不足は深刻だといわれる。

テレビの映像で見ると、ハリケーン被害者たちに肥満が多いことに気づかされる。糖尿病患者もかなり多いのではないかと想像できる。インスリンの不足、運動不足、絶食による低血糖による昏睡など、多くの命が失われたのではないかと、私は推測する。

アメリカは糖尿病をもつ人は多いが、日本も近年の糖尿病患者の急増ぶりは、凄まじいばかりだ。2002年度の厚生労働省糖尿病実態調査によると、糖尿病患者は760万人。厚労省は、2010年には、1,080万人と推定している。

糖尿病にとって大きな問題は糖尿病患者の約半数が治療を受けていないということだ。糖尿病の初期は、ほとんど自覚症状がないからだ。しかし放置しておくと糖尿病の三大合併症、腎症、神経障害、網膜症になる。なかでも失明につながる糖尿病網膜症はもっとも悲惨な合併症とされている。毎年、約三千人もの人たちが失明している。失明にまで至らなくても、深刻な視覚障害を招いている。ちなみに糖尿病患者の約40パーセントが、網膜症を発症している。

さる9月15日、東京都内のホテルで、日本眼科医会主催の記者発表会が行われた。同会の三宅謙作会長はこう訴えた。

「網膜症を早期に発見するためには、職場検診や内科で糖尿病と診断されたら、目に自覚症状がなくても、まずは眼科に検診に行き、その後も定期的に眼底検査を受けることが必要です。適当な治療をしていけば、長い一生を通じて良好な視力を維持していくことは可能です」と。

いずれの病気にも言えることだが、とりわけ網膜症は早期発見早期治療がもっとも大切だ。早く手を打てば、もっとも悲惨な失明も予防することは、100パーセント近く可能なのだ。眼科治療の進歩は目覚しいものがある。

山形大学医学部視覚病態学の山下英俊教授が、最近の糖尿病網膜症の治療について講演。

「網膜症の進行度に合わせた適切な手術をすれば失明を防ぐのみでなく、視力の回復も可能になった」。

目をカメラにたとえると、網膜はフィルム相当する。フィルムに傷がつくと、感度が悪くなるように、光や色を感知する神経が敷きつめられた網膜が痛むと、障害を起こす。つまりフィルム障害が網膜症だ。血糖コントロールなど、全身管理のみで網膜症の悪化が抑制できなかった場合は、もっとも強力な治療手段の一つは「網膜レーザー光凝固術」がある。この治療でも治らないほど重症化している場合は硝子体手術を行う。これは内視鏡による顕微鏡下の手術で目覚しい進歩を遂げている。一昔前までは、お手上げだった重症のケースが助かるようになった。眼科の治療技術の進歩によって、網膜症は失明の予防≠ゥら、より良い視力の維持≠ヨと向かっている。

糖尿病と診断されたら、放置することなく、よきパートナー医を持ち、自己管理していきたい。繰り返しになるが、同時に眼科医の検診もぜひ受けていただきたい。QOV(Quality of Vision=視力の質)を実現するために。

http://www.gankaikai.or.jp 日本眼科医会のホームページ。「目の110番」

毎週木曜日午後三時から五時まで電話相談に応じている。TEL:03‐5765‐8181


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