医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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2004年9月5日(日) マザー・テレサの命日
 
 東京プリンスホテルの「鳳凰の間」で今日午前中と夕方、そして明日午前中と三回講演をする。ある有名な栄養補助食品の会社の依頼。『食といのち』というテーマでお話をしようと思う。会場に着いて驚いた。今日からホテルに泊り込みで、3回講演をすることになるのだが、一回1000人の聴衆が入るという。舞台の両サイドには映画館のような大きなスクリーンが備えられている。テレビカメラで捉えた私の大写しの顔が二面のスクリーンに映る仕掛けになっている。テーブルの入ったホテルの1000人収容できる会場は、後ろの方は、遥かかなたにかすんで見えるような感じである。「いやはや……これはちょっと緊張しますね」と思う。

 さていよいよ本番。今日9月5日はマザー・テレサがなくなった日だ。1997年だったから7年前になる。87歳だった。くしくもテレサの命日だ。テレサの話を講演の導入部にしようと思う。1981年4月、日本を訪れたことがある。彼女は、お忍のびで、大阪西成区のあいりん地区、東京台東区の山谷地区を見て回った。酔っ払った男性が路上に倒れている。

 テレサはこの風景を見て衝撃を受けたという。

  「私がショックだったのは、誰も手をさしのべるほとがいなかったことです。私はこの豊かな美しい国で孤独な人を見ました。この豊かな国の大きな心の貧困を見ました」

 ファストフードの店にも行った。子どもたちが食べきれぬほど注文をして食べ散らかしている。カルカッタの子どもたちは、飢えているというのに……。テレサはプラスチック製のスプーンやフォークが捨てられているのもショックだった。ウェートレスに「このスプーンをいただけますか?」
「それは使い捨てですよ」ウェートレスは不思議そうに言う。

 テレサは飽食の中の、心の貧しさを見たのである。

 こんなことを枕にして、話は飛ぶようだけど、地球上にに生命・いのちが誕生したのは30億年前だといわれている。「海」で誕生したのである。海はいのちの母・母胎である。海という字には母という字が入っているし、大和ことばの「産み」に通じる。

 私たち人間の体の血液、体液、羊水は古代の海の完璧な複製であることはよく知られている。ナトリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム……。残念ながら、ファストフードやインスタント食品には、古代の海に含まれている微量要素は含まれていない。

 食とは大地や海のエネルギーを取り込むことではないか。人間もまた壮大な大自然であることを理解すること。これが食育≠フ原点ではないでしょうか。

 まぁ、文字に短くまとめるとそんな話をしたのである。

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