医療ジャーナリスト和田努の「医療・健康・福祉」を考えるコンシューマーヘルス
 
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2004年9月7日(火) 信州上田の長野病院へ
 
 新幹線で上田へ。東京駅から2時間半、ずいぶん近くなったものだ。国立長野病院を訪れる。ついこう書いてしまったが、正確には「独立行政法人国立病院機構 長野病院」である。機構改革のおかげでこんな長ったらしい名前になってしまった。病院の建物に入って驚いたことは、外来患者が少ないことである。大病院の午前中の外来患者の雑踏ぶりを見慣れた目には、奇異な感じすらする。しかし考えてみれば、こんな状況を見学に長野病院にやってきたのだ。

 「医療連携」ということが叫ばれて久しいが、うまくいっているところは少ない。病院と診療所の連携を病診連携という。病院と病院の連携を病病連携といったりする。急性期病院とリハビリ病院との連携、さまざまな医療保健機関同士の連携、さまざまな職種の連携がうまく行かなくてはならないことは、みんな気づいているのだが、いざ実行ということになるとうまく行かない。

 長野病院は、地域医療支援病院。上田市とその周辺地域の中核的病院である。長野病院は医療連携が非常にうまく行われている。

 糖尿病を例に取ってみよう。糖尿病を治療している人は、250万人くらいいるだろうといわれている。実際には750万人とも1000万人とも言われている。ともかく桁外れに多い病気である。病院の外来に糖尿病患者が集中してパンクしそうな状況だ。長野病院は、開業医の先生方に病院に来てもらって、勉強会を開き、診療所の糖尿病の診療レベルを上げていく。患者の勉強会も行う。糖尿病で外来に来ていた患者さんを、診療所に逆紹介をする。糖尿病だけでなく、さまざまな病気に広げていけば、病院の外来患者は減少していく。本来病院がやらなくてはならない医療に専念できるというわけだ。

 長野病院が重点的に行う医療とは、「急性期の医療」「高度な検査や治療を必要とする医療」「小児をはじめとする救急医療」などだ。

 これが、長野病院の外来患者がきわめて少ない理由だ。

 長野病院の武藤正樹副院長が、院内をくまなく案内してくださり、医療連携、疾病管理のレクチャーをしてもらう。武藤正樹医師は、ぼくの畏敬する医師のひとりだ。彼は外科医であるが、医療機関の管理者として、医療マネージメント学会の重鎮として、医療改革の先導者として目覚しい活躍ぶりである。
「おそらく間違いなく21世紀は連携医療の時代になるだろう」という彼のことばは実践の人であるゆえに重みがある。

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